世界中で一番好きになったあなたを
世界中で一番嫌いになったときを
私は一生忘れない
心の底から愛していた自分と
そんな私に同情で傍に居たあなた
眼前に突きつけられたとき
あなたを初めて憎いと思った
私はみっともなく泣いた
瞼が腫れたが どうでも良かった
何も知らず
あなたを好きだった頃に戻りたかった
それが叶わないなら
あなたなんかと出会わなければ良かった
下唇を噛み締めて
今の私が唯一出来ること
「忘却」の海に沈めてしまおう
大好きだった 大嫌いな人も
忘れてしまえば 傷はないから
そう 初めから傷などなかったのだから
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蔦、お題「大嫌い」
070628(三校)20070628初校、2校
カフェオレ色の濁流に
全部流されてしまえ
いつもは穏やかに光写す川面も
川原に遊ぶ人の影も
やわらかくそよぐ葉も
全部壊して
全部流して
呑み込んで
巻き込んで
流してしまえばいい
時間さえ
やがて空は青く輝き
今までもこれからもそうであるような顔で
過ぎた荒々しささえ
懐かしく思う
汗をかくグラスの中の思い出
行き着けの喫茶店で飲むのは
いつもカフェオレ
仄苦く やや甘い 茶濁色の液体
ふわりと上がる湯気の優しさ
幼い己を思い出させるぬくみは
この歳になって気付いた
父の優しさ 母の孤独
を思い出させ
還るべき故郷を
喪った者が抱く郷愁を掻き立てる
確かあの頃は珈琲牛乳と呼んでいた
苦さを隠し甘ったるい優しい色をしていた
カフェオレは柔らかく口腔に広がり
苦味も甘味も舌に乗せると
今日まで過ごしてきた長い日々を
振り返らずにはおれない
そこに己の弱さを見る
明日からはブラックの珈琲にしようかな
少し自分に厳しくしないと
ひとりごちて空のカップを置き
カランと音と立てて外へ出た
夕暮れの美しい初夏であった
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2007/06/20初校、同日2校
【蔦】お題・カフェオレ
信号待ちをしていると
空から ポツ ポツ
と小雨が降ってきた
しっとりと無言で
空が泣いていた
丁度傘は持っていたから
涙が伝染しないように 傘を広げた
何が悲しくて空は泣くのだろう
痛みも 苦しみも 鎮めていく
視界をおぼろげにしていく小雨
あなたの悲しみが
地面に黒い染みとして刻まれていく
束の間 曇天を仰ぐ
灰色一色のモノクロが眼前に広がる
どんな辛いことがあったか分からないが
あなたの孤独が早く終わるといい
隠してしまった太陽と月への嫉妬
あなたもまた 太陽や月と
同格のものであるのに
気付かないでいるのだろうか
この涙は誰のものか
狡猾な私は 涙で濡れないように
一人 傘を差して
何にも気付かない振りをしている
小雨が止んだ後は
空気が冷えていて澄んでいる
雲間から光の帯を地上に落とし
自らの行為に謝罪する
清浄の雫は
落ちてきた光の中で
水晶のように煌く
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2007/06/17初校、2校。
【蔦】お題・小雨
拍手ありがとうございます!
大変嬉しいです。
どうぞこれからもふらりと
蔦に来てみて下さい。
やわらかく抱く腕に
しとしとと雨が降る
意思をも感じる髪に
しとしとと雨がふる
持ち上げた顎に
伏せられた瞼に
しとしとと雨が降る
しとしとと雨が降る
滑らかな肌を伝う雫は
大地に吸われ
君は立ち上がり
大きく咲くのだろう
きらめく水のこぼれる
真っ白なあじさいの花
※拍手ありがとうございました。
感謝感謝です!