壁 は常にあった
右を見ても 左を見ても
前にも 後ろにも 四方八方
「私」という人格を守ろうとするかのように
高く聳(そび)え立つ壁 があった
空は遥か彼方 上空に切り取られたように
まるでそこだけが自由であるかのように
ぽっかりと蒼い澄んだ目で私を見ていた
壁 が何時からあるのか 私は知らない
何処へも行かず 只管(ひたすら)其処に居たが
唐突に 壁 は私自身が作っていたのだと
気が付いたのだ 判ったのだ
私は小さなノミとハンマーを握ると
壁に闘いを挑み始めた
堅固に私を押し込めてきたそれを
私は自分の手で壊すことを選んだ
私が壊し始めたのは 眼前の壁
右でも左でも後ろでもなかった
私は前へ進みたかったのだ
その方向が 必ずしも前であると限らずとも
長い間 私は壁に挑み続けた
ある日 壁は崩れ落ちた
私を取り囲んでいた小さな箱庭の空間は
見事に崩壊し 私に屈服した
私は私の手で違う世界を見ることが出来
新しい世界へ足を踏み入れることが出来るのだと
その時になって理解した
未知への不安と怯えを抱えながらも
外にも世界があることに胸は震えた
可能性を信じていれば
いつか道は拓ける
己の壁を打ち砕くことから
それは始まるのだ
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2007/06/20初校、2校。
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